前回の記事、【SI解析】第1回 回路図どおりにならない?では、”等価回路”のお話のさわりをいたしましたが、本記事でも更にそのことについて触れていきます。
回路で表現される”受動部品”は、”抵抗””コンデンサ””コイル”などがあります。
では、よく使われるこの3つの素子はどんなものか想像できますか?
まず抵抗です。抵抗は回路記号では
このように表されます。また、動作は良くご存知の”オームの法則”に従い、電圧降下や電流の制限をしたり、あるいはインピーダンスの終端などに使います。金属電線さえあれば、抵抗は作れます。電線は”導体”ですので、抵抗値が極力小さくなるように作られています。
金属には抵抗率ρ というものがあり、その断面積、長さで抵抗値は決まります=抵抗です。
抵抗だけでも更に深く色々とあるのですがここではこの程度にとどめておきます。
次にコンデンサ Cです。これも2枚の金属板があれば作ることができます。
また、コイル Lも金属の電線があれば作れます
共通点に気がついたでしょうか?全て”金属”でできてしまいます。逆に考えれば、”金属が存在する限り、必ず上記の要素がある”と考えてください。
また、特にコンデンサとコイルは”空間”も存在していることに着目です。金属と空間があれば、R,C,Lは出来てしまうのです。実際にこれらが部品としてあるのは、特にその値を大きくするように工夫された物だと思ってください。すなわち、金属や空間(空気)を使うよりもはるかにRやCやLを目立たすことができる(言い方を変えると小型にできる)ものということです。
つまり、それらに比べて電線や金属の部分、空間はほぼ”0”として考え特にその値を顕著にした部品として扱うことのできる世界、それが集中定数といわれています。
つまり、その部品にR,L,Cの要素を集中させるという意味です。
一方、周波数が高くなったり、ほぼ0として扱うことが影響する世界では、電線や電源プレーンのLCR成分も考慮しなくてはなりません。
各技術が進化して、デバイスや能動部品の性能があがり、すなわち、ゼロとして考えられることができなくなってきているのです。
前回の”等価回路”のイメージがそうですが、配線そのものをある程度の”集中定数化”してLCRに置き換えるものが分布定数回路です。2本の束ねた電線は、ある長さごとに区切って全く同じ回路ブロックの組み合わせで表現できます。ある区間に区切ること、つまり分布させて考えるため分布定数回路と言います。